楽天の出店は儲からない?赤字や失敗を防ぐ運営のポイントとEC成功の秘訣を徹底解説!
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目次
はじめに|「楽天出店は儲からない」は真実か?
日本最大級のECモールである楽天市場。楽天に出店したい!ECビジネスで成功したい!という方が目指す大きなゴールの一つでもありますよね。
結論から申し上げますと、「楽天出店は儲からない」は嘘です。なぜなら楽天に出店し、実際に利益を出していらっしゃる店舗さんがたくさん存在するからです。
しかし、どんな店舗でも成功できるかというとそうではありません。楽天には楽天の利益の出し方、AmazonにはAmazonの利益の出し方、自社ショップには自社ショップの利益の出し方があります。
今回は、
「楽天出店は儲からないのではないか?」
「自分が始めようとしているビジネスは楽天に向いているのだろうか?」
とお悩みの方に、出店を判断できる基準と、ECで成功する秘訣について解説して参ります。
楽天出店が儲からないと言われてしまう理由
「楽天出店が儲からない」が嘘だと断言できるのに、楽天出店が儲からないと言われてしまう理由は一体何なのでしょうか。
この答えは、楽天出店に限らず「ECショップ運営の難しさ」にあると考えます。
ECショップの運営はハードルが低いと思われがちですが、集客や利益の出し方はリアルショップとは違った独特な難しさがあります。その点を踏まえ、ビジネスとして成立させることは楽天市場などのモール運営に限らず大変です。
逆に言うと、しっかりとした利益構造を構築してさえいればモールは素晴らしい集客力を発揮してくれます。モールの特性、楽天市場の特性をしっかりと理解したうえでネットショップを運営することが大切です。
楽天はどんな商品・ビジネスに向いている?
楽天市場は、日本国内であれば誰もが知っているECモールです。2023年のEC流通総額はなんと6兆円。まさにケタ違いの集客力を誇ります。
例えて言うならば、東京の新宿・渋谷・銀座・日本橋など多くの人が集まる場所に出店するのと同じこと。まずは自社の商品が、いきなりそのような一等地に出店して勝負できるか?ということを考えてみると、イメージがつきやすいかもしれません。
しかしこれは、「楽天で成功することは難しい」と言いたいわけではありません。実際に、出店するまでは知識も経験もなかった、という店舗さんが楽天ランキング1位の有名店になることだって珍しいことではありません。では具体的に、どのようなビジネスや商品が楽天で成功できるのでしょうか。ポイントを挙げながらご紹介して参ります。
楽天市場での販売に向いている商品
- 利益率の高い商品
- 独自性の高い商品
- 商品の改良や売り方の変更がしやすい商品
- 大量出荷に対応できる商品(販売体制)
- ファンがつきやすい商品
楽天市場での販売に向いている商品|1.利益率の高い商品
楽天市場はECモールです。モールの性質上、競合他社が多数出店しています。類似商品が比較されやすく、顧客の流出が起こりやすいというデメリットがあります。
そのような状況の中で、イベントや広告など様々な施策を行いながら店舗運営を続けていくには経営的な体力と、常に利益を出し続けられるビジネスモデルが必須です。
ではどれくらいの利益率があれば楽天市場で勝ち抜いていけるのかというと、一概には言えませんが
売価 ー 原価 ー 固定費(※)ー 広告費(※)ー 手数料(※)ー 送料(※)= 利益
※商品1個あたりに換算した費用
この利益が売上の10%以上あることが理想です。
ここで注意していただきたいのは、あくまで利益(営業利益)であって、粗利(売上総利益)ではないということです。
ECは固定費がかからない・低く抑えられると思われがちですが、お客様の目につく場所にお店がない分、集客にお金がかかります。人件費、固定費(事務所家賃・倉庫代)、広告費、手数料などを引いた上で、それでも利益が残るプライス設定にしなければいけません。
仮に売値が低い物だと、損益分岐点を超えるために販売しなければいけない個数が増えます。
また、グルメ商材のように在庫が廃棄になる場合や、売れ残ってしまい今後の販売の見通しが立たない場合もその分の原価は固定費として換算すべき場合があります。
このようなことを考えると、利益率の低い商品はかなりリスクが高いということがお分かりいただけるかと思います。楽天市場が集客に最適とはいえ、いきなりたくさんの商品が売れるわけではないため、利益率の高い商品が適していると言えます。
楽天市場での販売に向いている商品|2.独自性の高い商品
楽天市場は2023年時点で全国約57,000店舗が出店しています。競合ひしめくネット界の巨大モールで、他のショップが販売していない商品を探すだけでも大変です。
しかし、オリジナル商品であれば優位性が高く、利益率も高く設定できます。
完全に自社生産していなくとも、OEM生産や仕入れルートを工夫することで独自性の高い商品を作ることが可能ですので、ユーザーの細やかなニーズを汲み取って、なるべく独自性の高い商品を作りましょう。
型番商品などでオリジナリティが出しにくい場合でも、商品の紹介の仕方を工夫したり、バックヤード(受注処理)のオペレーションなどを丁寧にこなしたりすることで競合に差をつけることも可能です。細やかな顧客対応でファンを増やし、お客様とのやり取りの中から新しい商品を生み出していく、というような良い循環を作り出せれば、ジャンルの中で存在感を出せるはずです。
一方で、商品にオリジナリティは必要ですが、あまりに個性的でニッチな商品になりすぎても楽天のような巨大モールでは売りにくい場合があります。モール内で大量の商品を売り続けていくためには、そのジャンルの初心者から上級者まで幅広いユーザーに受け入れられ、常に在庫が流動していく環境を整えなくてはいけません。そのためにはある程度普遍的な仕様や、飽きられないデザインを考えることも必要となります。
生産コストを抑える方法として、1000個以上のロット数を一度に仕入れなくてはいけないという場合もあるため、倉庫代などがかさまぬよう数か月単位で在庫が流動していく体制を整えましょう。
楽天市場での販売に向いている商品|3.商品の改良や売り方の変更がしやすい商品
顧客のニーズは常に変化するものです。特に新型コロナウイルス発生以降はリモートワークやタブレット学習、趣味の充実など、ビジネスシーンや教育環境、人々の生活においても様々な変化が見られました。
これらの環境の変化により、人々のお買い物のニーズも多様に変化しています。
逆にニーズの変化を素早くキャッチし、商品を柔軟に変更出来れば、それはビジネスチャンスをつかむことにも繋がります。
仮に商品の変更や改良を工場に伝え、それを商品に素早く落とし込むことができる生産体制があれば、モール内でいっきにランキング浮上することも可能です。
モールのユーザーは変化や流行に敏感です。「いい商品だ」と認識されれば、アフィリエイトや口コミでまたたくまに広まって爆発的な集客力を生み出します。
顧客ニーズを汲み取れるかどうかと、それを商品に落とし込めるかどうか。
この2つのポイントが、モールでのEC店舗運営の明暗を分けると言っても過言ではありません。
楽天市場での販売に向いている商品|4.大量出荷に対応できる販売体制
楽天市場に限らず、モール内ネットショップの運営で大切なことは「大量出荷に対応できるかどうか」です。ECはリアル店舗のような「だんだんと成長していく」というストーリーを経ず、ある日突然大量の注文が来ることがあります。そんなときに、多くの注文を出荷できる体制にあるかどうか。クレームや返品などがあったとしても、それに対応できる受注体制があるかどうかは重要なポイントです。
そもそもモールは、集客に困らないために出店する場所です。ヒット商品が生まれると注文が殺到することも珍しくはありません。そのような時に「在庫がないから受注できない」「スタッフがいないから発送できない」ということが起こってしまうとそれはそもそもモールで販売する意味がありません。無理に在庫やスタッフをそろえる必要はありませんが、セール時やイベント時には臨時スタッフを雇う、もしくは発送を外部委託にするなどして、大量出荷にいつでも対応できる環境を整えましょう。
楽天市場での販売に向いている商品|5.ファンがつきやすい商品
楽天市場の大きな特徴として、「商品」ではなく「店舗」や「店長」にファンがつく、応援するという土壌・文化があります。これは楽天市場がオープン以来大切にしてきた「エンパワーメント(元気を与える)」という企業理念が土台にあるからと言うことができるかもしれませんが、楽天は他のモールとは異なり、人と人、店舗同士、店舗とお客様、お客様同士の係りが活発です。そのため、より柔軟にお客様とかかわることができる店舗が成功しやすい傾向があります。
例えば楽天市場に限らず、レビューはネット販売に大切な指標ですが、楽天の場合はこのレビューの信頼性が特に高い傾向にあります。その理由として挙げられるのは、楽天市場がレビューを書く側にも、店舗側にも一定の規約を設け、それに逸脱する場合はペナルティを与えるなどの適正な運営をしているからです。
ネット販売だからと自動販売機のような接客を徹底するのではなく、あえてお客様とのふれあい、交流を楽しめる商品であることで、波に乗りやすいということは言えるかもしれません。
また、店舗側の世界観を一方的に発信するのではなく、お客様とスタッフ、二人三脚で築き上げていくような柔軟さもまた、モール運営には必要な要素です。
本当に楽天出店にデメリットはないですか?モール運営によくある誤解を徹底解説!
「楽天市場に出店すると、こんなことしなきゃいけないんでしょ?」「楽天に出店するとこんなデメリットがあるって聞いた!」そんなよくある誤解をご紹介しながら、モール運営やECショップ運営のポイントを解説していきましょう。
楽天への出店でよくある誤解| 1.セールやイベント時に値引きしなくてはならない
楽天市場への出店でよくある誤解のNO.1が「セールを継続的にしなくてはいけない」というものです。確かに楽天市場はお買い物マラソンやスーパーセールなど年間を通してイベントがたくさんありますが、これは値引きを強制するものではありません。また、値引きをする際の手順も、景表法などに基づいて厳しいルールが定められているため、どこかのお店が大安売りして市場を荒らすということもしにくい環境にあります。
そういった、ある意味では保護され、整えられた環境の中で市場競争が行われていますので、ビジネスとしては逆に勝負しやすい環境であると言えるかもしれません。
また、近年では出店ラッシュというよりは良質な店舗が息の長い店舗運営を続ける傾向がありますので、無理にセールをするより商品の価値を適切にユーザーに伝えることに重きが置かれています。そういった観点から見ると、イベントは顧客とのタッチポイントを増やす有用なチャンスととらえたほうが良いでしょう。
楽天への出店でよくある誤解|2.広告を打たなくてはならない
もう一つ良くある誤解が、広告を大量に打たなくてはならない、というものです。
この章をご理解いただくうえで大切なのは、広告は悪ではないということです。
広告は集客において大切なツールであり、使い方によっては店舗の売上や利益を大きく伸ばしてくれます。問題は赤字になったり損益分岐点を下回ったりするような広告の「打ち方」であり、適切な打ち方をしている限りでは楽天の広告は効果の高いものだと言えます。
そもそも楽天市場はお買い物をするために訪問しているユーザーが多く、その中で打つ広告は一般的なフィールドで打つ広告よりも高効率であることが予想されます。
実際に広告を一切打たなくても利益を出しているショップは存在しますし、広告を強制されることもありません。
広告の打ち方については手法や種類がたくさんありますのでここでは説明を省きますが、成果を検証しながら出稿していくことで、店舗に合う広告に出会えるはずです。
楽天への出店でよくある誤解|3.型番は成功できない
いわゆる「型番商品」と言われるショップは価格競争に陥りやすいため、楽天市場には向かないと言われることがあります。確かに型番商品はAmazonの得意分野と言うイメージがありますが、そもそも楽天とAmazonはユーザーの性質が異なるため、型番商品が向かないということは決してありません。
大切なのは仕入れルートや仕入れ価格、オペレーションや在庫保有のタイミングなどです。商品は全く同じでも、他店と売るタイミングやターゲットユーザーをずらすことで利益を確保することができます。
大切なのは「どれだけ安く売るか」ではありません。「どれだけ価値を生むか」です。
生み出した価値の分だけ店舗は利益を得ることができます。価値を知っているのはユーザーです。楽天市場はポイント商圏も広いため、「多少の価格差なら高くてもあえて楽天で買いたい」というユーザーがたくさんいます。その期待に応えるべく、どんな価値を生むかを日々考えた店舗に、成功が待っているというわけです。
楽天への出店でよくある誤解|4.システム利用料が高い
楽天市場のようなモールは集客力がある分、システム利用料やロイヤリティと言われる販売手数料がかかります。しかし楽天市場の場合、集客力を考えれば特に高額とは言えません。
むしろSEO検索対策やECサイトのシステム構築料を考えればかなり良心的ともいえます。
出店プランはECショップの規模や出品点数、購入金額に応じて用意されていますから、まずは安いプランからはじめて、ステップアップしていくことをおすすめします。
以下は楽天市場の基本出店料です。この基本出店料のほかにも売上に応じて支払う手数料がありますが、基本的な出店料は非常に低く抑えられていることがお分かりいただけると思います。
楽天基本出店料(月額固定費)…2024.6月改訂版
出店プラン | 基本出店料(月額固定費・税別) |
メガショッププラン | 130,000円 |
スタンダードプラン | 65,000円 |
プレミアムライトプラン | 52,000円 |
ライトプラン | 52,000円 |
がんばれ!プラン | 25,000円 |
Ichiba Basic Shop Open Plan | 65,000円 |
モール運営が厳しい場合は自社ドメインでのショップ運営も参考に
ここまでをお読みいただき、大きなモールでの運営が厳しそう、スモールスタートでも自社に合ったやり方でECショップ運営を始めたいという方は、自社ドメインでのショップ運営をご検討いただくといいかもしれません。
自社ショップでの運営はモールに比べると集客力は劣りますが、手数料などの運営コストが安く、モールのルールに縛られることもありません。
出店に関してお悩み事やご相談事がある場合は、経験やノウハウが豊富な当社にお気軽にお問い合わせください。広告運用や制作に関してのお問い合わせも承っております。
まとめ | 自社に合った運営方法で利益の最大化を
いかがでしたでしょうか。ひとくちにECショップといっても規模や商品によってさまざまな運営方法があります。モールが最高でもありませんし、自社ショップが最適解でもありません。
自社に合った売り方でぜひ利益の最大化を目指しましょう。