ECサイト運営が辛いあなたへ。原因とその対処法について徹底解説
ECサイト運営
先日、総務省統計局が発表した「家計消費状況調査」によると、2020年から2022年にかけてネットショッピングを利用する世帯が右肩上がりに増えています。
※出典元:家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について(二人以上の世帯)-2022年(令和4年)6月分結果|総務省(2022年8月時点)
この背景から、近年ますます多くの企業がECサイトに参入!一方で、ECサイトの運営が「しんどい」「辛い」と感じる担当者が増えていることもまた事実。
そこで、本記事では、ECサイト運営が辛くなる原因とその対処法について詳しく解説します。
順風満帆なECサイト運営ができればいいですが、そうした企業はほんの一握り。本記事は、少しでも早くECサイト運営の辛い状況から抜け出すヒントが詰まった内容になっています。ぜひ最後までご覧ください。
目次
ECサイト運営が辛くなる最大の原因「業務の多さ」
まずは、なぜECサイトの運営が辛いと感じるのかを探ってみましょう!
ECサイト運営における業務はさまざま。業種によってやや違いはありますが、基本的には以下のようにわけられます。
- 商品企画や構想の考案
- 仕入れや製造
- 商品撮影や商品説明文の考案
- 商品登録
- バナー・LPの制作
- 商品の受発注
- 商品のピッキングや出荷業務
- カスタマーサポート(CS)
- コンテンツ制作
- プロモーション
この「業務量の多さ」が、ECサイト運営をつらくさせる最大の原因。それぞれの難しさや必要なコストについて、詳しく紹介します。
商品企画や構想の考案
どんな商品でも、企画すればいいというわけではなく、原価率や利益率の計算などを通して決められた予算内で最大の利益を生まなければなりませんよね。
ECサイト運営を円滑に進めるには、継続的な商品の企画や開発が必要。そのためには、トレンド情報・顧客の需要・適したシーズンなど細かい調査が求められます。既存商品の販売と並行するので、資金だけでなく時間的コストも必要です。
仕入れや製造
企画した商品は、手元になければ販売できませんよね。まずは仕入れですが、難しいのが仕入れ量の調整です。
例えば、インスタグラムのようなSNSで自社が取り扱う商品の人気が出た場合。すぐに在庫切れを起こすおそれがあり、「商品さえあれば売れたのに」という機会損失を被ることになります。
事前に関連のトレンドをキャッチできれば良いですが、SNSやWeb上でのトレンドは急に来るもの。急な在庫切れに対応するためにも、最短で入荷できる仕入れ先を確保しておく必要があります。
自社製造の場合は、販売状況に合わせた製造ペースを調整できるような体制が求められます。
商品撮影や商品説明文の考案
商品の写真や説明文は、売り上げにつながる大切な要素。うまく考案できない人にとっては、運営が辛いと感じることもあるでしょう。
ECサイトの欠点は、顧客が実際に手にとって商品を見られないこと。そのため、商品の利用シーンやサイズ感などをイメージしやすい写真・説明文が強く求められます。
例えば、同じ商品を販売するA店とB店があるとしましょう。A店の商品ページでは、写真が豊富で説明文がわかりやすく記載されています。一方、B店の商品ページは1枚の写真と商品名だけ。
さて、どちらが売れやすいでしょうか。答えはA店。内容がわかりやすく充実していて、実際の商品がイメージしやすいためですね。
商品登録
ECサイトは、商品の画像や説明文をサイト上に登録しますよね。一見簡単な業務のように思えますが、細かく見ると実は工数が多い業務の1つ。商品名・キャッチコピー・商品説明文・詳細情報(サイズ、素材、生産地など)・商品ごとのカテゴリ登録などが含まれます。
アパレルショップのように商品件数が多い企業であれば、それだけ多くの時間や人的コストが必要。いくら単純な作業でも、量が多すぎると辛いものです。
バナー・LPの制作
ECサイトは、あくまで商品を売る場所。それに対して、バナーやLPは自社の世界観やブランドイメージを伝える場所。新規顧客に自社についてPRしていくためには、バナーやLPの制作は避けて通れません。
具体的な業務としては、バナーに用いる画像の制作、コーディングによるLPのデザインなどが挙げられます。
でも、バナーやLP制作の業務にはある程度のWebデザインやコーディングの知識が必要。普段から制作に携わる人でもない限り、簡単な業務とはいえませんよね。
学ぶだけでも大変なのに、実際の業務としてデザインの考案やコーディングもやるとなると気が遠くなりそう。ほかの業務の多さも含めると、デザインが苦手な人にとってはストレスが溜まりやすい業務です。
商品の受発注
ECサイト上で商品が売れる度に発生する受発注。購入された情報をもとに、倉庫や工場に出荷指示。在庫が少ないときは、商品を補充するための発注作業。
サンクスメールや出荷完了メールの送付のような顧客対応も含め、取り扱う商品件数が多ければ、担当者にとっては受注業務は大きな負担になることでしょう。
この業務は受注処理の早さと正確な在庫管理を重要視したいところ。受注処理が遅かったり在庫管理がいい加減だったりすると、顧客からの信頼を損なうおそれがあります。
例えば、あなたがECサイトで商品を購入したとき。
店舗から購入の確認メールが一向に届かず、やっと届いたメールを確認すると在庫管理に誤りがあり商品が用意できないとのこと。この時点で、おそらくあなたは今後この店舗を避けたくなるのではないでしょうか。
極端な例ですが、商品の受発注は顧客との信頼関係を構築するためにも重要な業務であることがわかります。
商品のパッキングや出荷業務
ECサイト上で売れた商品を出荷するパッキングや出荷業務。大規模な企業でもない限り、ほとんどが自社で出荷まで担当しますよね。
昨今のコロナ渦を機に、オンラインでの商品販売が当たり前に。その結果、さまざまなサイズでの出荷や、荷物の場所を追跡できることが求められるようになりました。
また、精密な機器や割れ物を取り扱うような企業であれば梱包作業がどうしても手作業になります。多くの企業においてミスやトラブルが生じやすい業務の1つとなり、担当スタッフに大きな負担がかかっています。
カスタマーサポート(CS)
ECサイト上で商品を販売する場合は、顧客とのやり取りを電話やメールで対応しますよね。商品に関する質問、購入後のクレーム対応。小規模の企業であれば、ECサイト運営の担当者が対応する場合がほとんどです。
CS対応中は、ほかの業務ができないため負担が増えることに。また、心ない言葉を直接聞いてしまうことにより、精神面でもストレスを感じるおそれがあります。
コンテンツ制作
ビジネスの成長は顧客に認知してもらうことから。ECサイトを制作するだけで商品が売れていくほど甘くありませんよね。
そのために有効な施策が「コンテンツマーケティング」ですが、ほかの業務と並行して制作しなければいけないため中には辛いと感じる人もいます。
例えば、ブログ記事やコラム記事の制作は、効果が出るまでに時間はかかるものの検索エンジン内で上位表示されると高い集客力が期待できます。
しかし、そのスキルを身につけるまでに時間や労力がかかるので負担増。外注をする企業もいますが、予算の関係上、自社でコンテンツ制作を行うところも意外と多いです。
プロモーション
効果的なコンテンツ制作を生むために、広告運用やSNSでの発信をする企業もあるでしょう。
多少の費用はかかるものの、リスティング広告やディスプレイ広告を用いれば新規の見込み客をECサイトへ誘導することが可能。また、SNSはターゲットに対して簡単にプロモーションできる上に、広告費も比較的安い傾向にあります。
ただ、常に情報が更新されるSNSでは継続的に発信する根気強さが欠かせません。ECサイトの運営にプラスして、SNSの運用に関する知識も必要になり辛いと感じてしまいます。
ECサイト運営が辛いのは業務の多さだけじゃない
ECサイトの運営が辛いと感じる原因は、こうした「業務の多さ」のほかにもたくさんあります。
以下がその一例です。
- 人員不足
- CS業務の負担
- 業務時間外の対応
- 売上の低迷
それぞれ簡単に見ていきましょう。
人員不足
業務の多さに対して、十分な人員がいれば安心。業務が分担できるので、スタッフ1人あたりの負担は小さくなります。
しかし、スタッフが少ない企業では業務量が多くなりがち。うまく業務が処理できず、ミスが生じやすくなりストレスに感じてしまいます。
スタッフが離職すれば、さらに1人あたりの負担が増加!多くの場合、たとえ人員が少なくなっても、求められる仕事量や作業ペースは変わりませんよね。悪循環の始まりです。
求められるペースで業務が処理できず、仕事ばかりが増えていくことで辛いと感じてしまうでしょう。
CS業務の負担
商品に関する問い合わせやクレームなどに対応する「CS(カスタマーサポート)」。無理な業務量や人員不足はなく、問題なく遂行できている企業であってもこれが辛いというケースが多いです。
もちろん、顧客の納得いく回答ができれば商品の購入につながったりブランドの評価向上につながったりします。しかし、中には理不尽なクレームが絶えない現実も。うまく対応できるスタッフでなければ、CSはストレスフルな業務になりえます。
業務時間外の対応
ECサイトの便利な点は、いつでも購入できるところ。その裏では、ECサイト運営の担当者が就業時間外に業務をこなすケースもあり、運営が辛いと感じてしまいます。
例えば、イベントやセールの対応。急な価格の変更や商品の入れ替え。特に、システムに不具合や在庫切れが起きれば即座の対応が求められます。
「せっかくの休みなのに、就労しなければいけない」
このような状況が長く続けば、ストレスを感じるのも当然ですよね。
売り上げの低迷
ECサイトは、販売実績がいい時期もあれば、そうでない時期もあるもの。継続的に売り上げが出るとは限りませんよね。
売り上げが思うように伸びないと、精神的につらくなりがち。「人員不足」や「CS業務の負担」と違って、CVRやアクセス数、売上金額のように数字として結果が目に見える点もその一因でしょう。
上司から売り上げの低迷について責められるとなれば、誰もが辛いですよね。
ECサイト運営が辛いときの対処法
では、ECサイト運営がつらくなる原因を取り除くために何ができるのでしょうか。ここでは、その対処法について上記の原因と紐付けながら解説します。
業務を効率化できるツールの導入
業務の多さに煩わしさを感じるのであれば、業務の効率化が期待できるツールの導入を。自動で業務をこなしてくれるためECサイト運営における負担の軽減が期待できます。
例えば、顧客の問い合わせに自動で回答してくれる自動送信ツールはいかがでしょうか?
ECサイトを運営していると顧客とのやり取りはどうしても避けられません。中には、インターネットで調べればすぐに分かるようなことまで問い合わせる顧客も。すべての問い合わせに丁寧に返答したくても困難です。
ですが、自動送信ツールを導入すれば、よくある問い合わせなどは自動で返信!業務の負担が大きく軽減されるでしょう。
ツールの導入は業務の負担軽減だけがメリットではありません。浮いた時間を有効活用できるので、コンテンツ制作やスキルの習得に時間がかけられます。
人員確保
人員不足が原因のときは、十分な人員を確保することから始めましょう。業務が効率よく分担できるようになり、スタッフ1人あたりの負担が軽減されます。
プロモーション担当やコンテンツ制作担当のように、1人につき1つの業務に専念するといったことも可能になります。
とはいえ、新しく人材を雇用する場合は費用や保険のようなコストがかかる点は否めません。もし、資金的に余裕がないのであれば、フリーランスに業務を外注するのも良いでしょう。
フリーランスは、必要なときだけ業務が依頼できるので、新規で人材を雇うより費用が抑えられます。自社の予算に見合った形で考えてみてくださいね。
必要なスキルの習得
ECサイトの業務の多さやCS業務などに負担を感じているなら、必要なスキルを自分で身につけてしまうのも1つの方法。
習得できれば、ストックされるので今後も同じように使えます。ゲームで例えるなら、セーブデータのようなものですね。
例えば、クレーム対応の研修を受けたり、SNSのフォロワー数の集め方を勉強してみたり。これまで外注していたことも、自分でできるようになればその分だけ費用が浮くので大助かりです。
ECサイト運営では、いわゆるITスキルがあると良いでしょう。
例えばこちら。
- Webマーケティングスキル
- プログラミングスキル
- ライティングスキル
- デザイニング
これらのスキルを身につけるだけでも業務効率は劇的に変化します。
ただ、スキルの習得は決して簡単ではありません。1から学ぶとなると当然時間がかかります。業務をこなしつつ、地道に学んで習得してくださいね。
運営代行サービスの活用
業務量や、時間外の対応が大きなストレスとなっているなら「運営代行サービス」を活用してはいかがでしょうか?
代わりに業務をこなしてくれるだけじゃなく、売り上げアップに向けてプロ視点での最適化を図ってくれます。
運営代行サービスは「全部の業務を委託しなければいけない」と思われがちですが、実際は業務ごとに依頼が可能!例えば、バナーの制作・コンテンツ制作・ECサイトの分析・CS対応などがあります。
誰しも苦手な業務があるもの。プロにお願いして、自分の得意な業務に集中するのもGOODです。確かに代行費用はかかりますが、辛い感情が少しでもなくなるのであれば対費用効果の高い投資といえるでしょう。
売り上げを伸ばす施策の実施
売上低迷の原因は、集客が不十分であったり商品の価格設定が悪かったりなどさまざま。まずは、その原因を突き止めてから、効果的な施策を取り入れましょう。
例えば、集客が十分にできていないならSNSでの発信に注力するのがおすすめ。SNSの良いところは、その拡散性。投稿を見た人が「いいね」や「投稿の保存」などすることで、より多くのユーザーにECサイトの魅力が拡散されます。
ECサイト内でどれだけ優れた商品を販売していても、買ってくれる人がいなければ意味がありませんよね。特に、ECサイトを立ち上げたばかりの頃は集客どころかECサイトの存在にすら気づいてもらえません。
SNSの特徴を上手く活用すれば、集客力の改善も期待できるでしょう。
ECサイト運営が辛いときこそ積極的な投資を
外注や自動化システムをうまく活用できる企業もあります。しかし、予算の関係ですべての業務を自社でやる企業は意外と多く、これでは多忙なスタッフの負担がますます大きくなるだけ。ECサイト運営がつらくなるのも当然といえます。
自分の力だけで状況を変えるのはなかなか難しいもの。ストレスフルから脱するために、将来をみすえて時間や費用を積極的に投資してはいかがでしょうか?
本記事がECサイト運営が辛いと感じる人にとって、少しでも参考になれば幸いです。