EC市場の最新トレンドをつかもう!今後について徹底解説
ECマーケティング
EC事業は決して簡単ではありませんよね。その証拠に、多くの人が「集客が思うようにできない」や「売上が伸びない」と声をそろえて言っています。
デザインや運営方法など、さまざまな原因が考えられますが「EC市場のトレンドをつかめていないこと」もその1つ。そこで、EC市場を取り巻く最新のトレンドについて詳しく解説しました!
トレンドを知ることは顧客の需要を知ること。きっと、あなたのECサイトで集客の増加や売上アップにつながるでしょう。今の取り組みがトレンドに合ったものかどうかを確認しながら、ぜひ最後までご覧ください。
目次
EC市場のトレンドと売上の関係
EC市場でビジネスを展開する人なら、誰もが売上をもっと伸ばしたいと願うもの。でも、実際には「集客できない」や「売上が伸びない」と悩む人があとを絶ちません。
その原因の1つが「トレンドに合ったビジネスをしていない」こと。
どんな業種であれ、いつの時代にもトレンドは存在します。例えば、ファッションならジャンル・カラー・モチーフなど、トレンドを押さえている人は「おしゃれ」だと表現され多くの人から支持されています。
ファッションと同様に、EC市場にもトレンドがあります。EC市場でのおしゃれは「顧客にとって利便性が高いこと」。トレンドが押さえられれば、顧客が集まり、やがて売上の向上も期待できます。
EC市場のしくみと意味
そもそもECとは
「EC」とはよく聞くものの、その意味についてしっかり理解できている人は実際のところあまり多くありません。
ECは「Electronic Commerce」の略。日本語では電子商取引という意味で「eコマース」ともいわれています。
意外と知られていませんが、「EC」という単語には複数の意味が存在します。広い意味では、ネットワーク上での商取引全般のこと。「EC市場」はこれに該当します。
狭い意味では、インターネット上で行われる商取引のこと。「ECサイト」はこれに該当します。
ちなみに、経済産業省は上記のどちらでもオンライン上で商品が受発注されていれば「EC」と解釈します。
EC市場とは
オンライン上で商品の取引が行われる「EC市場」。主に以下の3つに分けられ、それぞれでトレンドや未来図が違います。
- BtoC-EC(Business to Consumer - EC)
- BtoB-EC(Business to Business - EC)
- CtoC-EC( Consumer to Consumer- EC)
あなたのECサイトはどれに当てはまるでしょうか?特徴を簡単に見ていきましょう。
BtoC-EC(Business to Consumer - EC)
事業者と消費者が取引をするEC市場。受注単価が低い傾向にあり、商品やサービスの売上が直接収益につながります。
多くの消費者が日常生活で触れる機会が多いので、なじみのある企業が多いでしょう。例えば、Amazonや楽天市場がこちらに該当します。
BtoB-EC(Business to Business - EC)
事業者同士が取引をするEC市場。企業が顧客です。受注単価が高くなりやすく、継続的な受注が収益につながります。
みなさんがイメージしやすい例としては、ヤマト運輸や佐川急便のような運送会社が挙げられます。
CtoC-EC(Consumer to Consumer - EC)
消費者同士が取引をするEC市場。ほかより歴史が浅く、インターネットの普及によって生まれました。
例えば、メルカリ・ラクマ・ジモティーのようなフリマアプリが代表的。みなさんも1度は利用したことがあるかもしれませんね。ユーザーが支払う手数料から収益を得ています。
各EC市場の現在と未来
では、現在のEC市場の状況や今後の展望を見ていきましょう!
今回の分析は、経済産業省が発表する「電子商取引に関する市場調査」を参考にしました。
BtoC-EC市場
※出典元:令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)|経済産業省(2022年8月時点)
2020年のBtoC-EC市場は19.3兆円で、前年の19.4兆円とほぼ横ばい。
2020年といえば、新型コロナ感染防止策として外出の自粛やECの利用の推奨が記憶に新しいですよね。市場規模に大きな変化がないのも納得できます。
ただ、中には著しく成長した分野もあります。以下の分野別構成比をご覧ください。
※出典元:令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)|経済産業省(2022年8月時点)
物販系分野が前年比で21.71%、デジタル系分野が14.90%とどちらも大きく成長しています。特に「書籍・映像・音楽ソフト」「生活家電、AV機器、PC・周辺機器」のカテゴリが好調です。
主な理由は、BtoC-EC市場では近年サブスクリプションサービスが定着し始めていること。みなさんも1度は利用したことがあるのではないでしょうか。
サブスクリプション(サブスク)というと、Netflixのような有料動画配信が代表的。ほかにも、洋服・家具・コンタクトレンズなどバラエティーが豊富です。
こうした物販のサブスク化は、今後もますます進行すると予測されています。
BtoB-EC市場
※出典元:令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)|経済産業省(2022年8月時点)
2020年のBtoB-EC市場は334.9兆円で、前年の352.9兆円からやや減少。
しかし、BtoC-ECと同様、カテゴリによっては成長が著しいものもあります。特に、食料品や衣料品といった「小売業」は1.9兆円から2.5兆円と30.6%も成長。
ほかのカテゴリは市場規模が前年比でマイナスを記録するなか、小売業はEC化がますます進んでいることがわかります。
CtoC-EC市場
※出典元:令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)|経済産業省(2022年8月時点)
2020年のCtoC-EC市場は、1.95兆円と前年の1.74兆円と比べて12.5%増加。
CtoC-EC市場にはフリマアプリやネットオークションなどがあり、特に前者の市場規模が急激に膨らんでいます。
主な理由はリユース市場の拡大。使用済みの商品を再販し、製品を捨てずに寿命を延ばすことで成り立つ市場です。
コロナ渦で家の整理をしたら不要なものが多く、フリマアプリやリユースショップで手放した人もいるのではないでしょうか。
今後もこうした傾向が続くと見られ、2025年には3兆2500億円に達すると予測されています。
EC市場を取り巻く最新トレンド
今後ますますの成長が期待できるEC市場。最新のトレンドは以下の3つに注目です!
- 決済システム
- ECサイトのデザイン
- その他
決済システム
決済システムのトレンドは2つあります。
- 決済情報の簡略化
- 決済方法の多様化
これらを意識することで、顧客の負担を軽減し、売上の最大化が期待できます。
順番に解説します。
決済情報の簡略化
ECサイトでのショッピング中、名前や住所などの個人情報やクレジットカード情報の入力が面倒だと感じたことはありませんか?
決済情報を簡単なものにすると、顧客の負担は大きく軽減!最近は、Amazonや楽天市場のような大手ECモールで決済情報入力の簡略化もしくは省略化が進んでいます。
例えば、Amazonは商品ページで「今すぐ購入」を押すと「スワイプして注文」と表示され、ボタンをスワイプするだけで注文が完了します。
仕組みは非常に簡単で、事前に個人情報や支払い方法を登録しておくだけでOK。購入者情報の面倒な入力は一切ありません。
とはいえ、小規模なECサイトがAmazonのような決済システムを導入するにはハードルが高いかもしれません。
そんなときは、すでに決済情報が登録されている別のプラットフォームとの連携が有効!例えば、Amazon Pay・PayPayなどが多くの企業で導入されています。導入にかかる手間や手数料などが違うので、現状にあった方法で取り入れてみましょう。
決済方法の多様化
決済方法として、PayPay決済・キャリア決済・Apple Payなどを見る機会が増えてきました。しかし、オンラインショッピングをしているといまだに決済方法がクレジットカードのみの店舗を見かけます。
もちろん、クレジットカードを持っていない人は購入できません。決済方法を限定することは、売上を自ら放棄しているようなもの。顧客の利便性を損なうだけじゃなく、見込み客を逃してしまいます。
できるだけ多く売上を手に入れるためにも、クレジットカード決済だけじゃなく最新の決済方法にも対応させると良いでしょう。
ECサイトのデザイン
ECサイトのデザインは、トレンドの移り変わりがとても早いです。
だからこそ、トレンドを意識すれば他社サイトとの差別化が効率的に。ECサイトを訪問したユーザーに覚えてもらえたり、興味を持ってもらえたりする期待値も高まります。
最新のデザインのトレンドは、以下の3つ。
- ミニマルデザイン
- 手書き風テキスト
- 巨大なタイポグラフィ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ミニマルデザイン
ミニマルデザインとは、最低限の情報だけで構成されたデザインのこと。要素が少なく見た目がすっきりとするので、サイト訪問者に洗練されたイメージを与えます。1つずつが目立つので、強いメッセージ性が打ち出せるのもメリットでしょう。
デメリットは、要素を排除しすぎると視認性が弱まり不親切なデザインになるおそれがあること。例えば、購入ボタンが立体的になっておらず、存在に気づいてもらえないといった具合ですね。
ミニマルデザインが取り入れられたサイトで有名なのは、Apple。サイト上では、商品画像と短いコピーが書かれているだけです。それでいて、ストレートな訴求がサイト訪問者の好奇心をかき立てるデザインに仕上がっています。
手書き風テキスト
ECサイトに限らず、Webデザイン業界はミニマルデザインのようにシンプルなデザインが注目を集めています。
最近のトレンドは手書き風のテキスト。例えば、チョコレート専門店であるKOBE CHOCOでは、商品カテゴリが手書き風のフォントになっていて味わい深さが出ています。
ここで重要なのが、すべてのテキストじゃなく一部だけを手書き風にすること。良い意味でデザインにギャップが生まれ強調できます。
手書き風のテキストは、人の手のぬくもりが感じられるのも大きな魅力。ECサイトを見た人に温かい印象を与え、親しみやすい雰囲気を感じてもらえます。
巨大なタイポグラフィ
タイポグラフィとは、文字を適切に配置したデザインのこと。それをサイトのタイトルや見出しに大きく用いることで、サイト訪問者に強いインパクトが与えられます。
例えば、不動産ブランドであるPLACESIONでは、トップページのブランド名・マンション・戸建住宅の見出しがかなり大きく出てきます。しかし、他のテキストとバランスが取れているためサイト全体が美しく見えます。
巨大なタイポグラフィは、アルファベットとの相性が良いため特に海外で人気の高いデザインです。とはいえ、前項の「手書き風テキスト」と組み合わせるなど、工夫することで日本語にも十分応用できます。
その他
このほか、以下の2つもトレンドとして押さえておくと良いでしょう!
- スマートフォン利用者の増加
- SNSとECの連携
それぞれ解説します。
スマートフォン利用者の増加
現代はスマートフォンが普及しており、持っていない人を見つけるのが難しいほど。ネットショッピングも、スマートフォンからのアクセスが年々増加傾向です。
※出典元:ネットショッピング 10~30代女性はスマホからの購入8割超(2022年6月30日)|NTTドコモ モバイル社会研究所ホームページ(2022年8月時点)
モバイル社会研究所が2022年1月に行った調査によると、スマートフォンのみでネットショッピングをする人が2年間で50%から57%に増えました。
画面サイズの大型化やパフォーマンスの向上もあり、このトレンドは緩まることがあっても後退することはほぼないでしょう。スマートフォンユーザーを意識したECサイトの設計が今後ますます求められそうです。
SNSとECの連携
最近では、SNSとECの連携が多く見られるようになりました。特にInstagramは、近年ECとの連携を強化。ショッピング機能が実装でき、投稿上で写真と商品ページがリンクさせられます。
この機能は、買い手と売り手のどちらにとってもメリットがあります。
買い手は、検索の手間が省けるのでとても便利!Instagramで気になる商品を見つけても、わざわざブラウザで検索して商品購入までいくのは面倒なもの。しかし、ショッピング機能によって投稿に「商品名」が表示されれば、ワンアクションで簡単に購入ページまで辿り着けます。
忙しい現代人にとっては大きなメリットですよね。
売り手は、新規顧客の獲得が期待大!ショッピング機能をつけた投稿がそのままフィード広告として出稿できるので、自社を知らない人にも配信されます。
また、広告費用が安い点も魅力の1つ。リスティング広告となると、月に数10万円ほどは予算として見積もる必要があります。しかし、Instagramの広告はひと月あたり数万円からでも始められます。
スマートフォン利用者の増加も相まって、SNSとECの連携は今後も発展すると考えられます。
トレンドは一過性に過ぎない
多くの人から支持されるトレンドは、技術の進歩や考え方の変化により波のように次から次へとやってくるもの。いつまで今の取り組みが効果的かどうかは、定かではありません。
EC事業を成功させるには、その時々に訪れるトレンドを押さえることが大切!集客数や売上アップのためにも、最新の情報を集めながら顧客の需要に合う取り組みを続けていきましょう。