ECサイトの売上をアップさせるKPIとは?基本項目・設定方法・その後の注意点を徹底解説!
ECサイト集客
ECサイトの運営担当者が目標に掲げる「売上アップ」。すべての人がもつ共通のものであっても、その悩みはさまざまです。
「どこを改善すればいいの?」
「どのように改善すればいいの?」
「本当に現状から変えてしまっていいの?」
売上アップを目指して、多くのECサイト運営者が日々試行錯誤。しかし、ECサイトの運営はやみくもに実行しても、結果にはつながりません。
売上が伸びたとしても、単なる偶然かも。再現性がないものは次の機会に活かせず、うっかり変更してしまったものは理由がわからないので復元もできません。
そういったトラブルを防ぎ、計画的に売上をアップさせるために必要なのがKPI!
この記事では、KPIとはなにかという基本的な事から、設定方法や設定後の注意点までしっかり解説します。ECサイトの売り上げをアップさせるため、ぜひ参考にしてください。
目次
ECサイトはKPIで目標を明確にしよう
KPIは売上アップのための道しるべ
KPIとは、「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」という意味。目標やゴールまで、どの程度達成できているかを計るための指標や評価目安として設定します。
また、設定時のプロセス通りに進んでいるかを確認する指標でもあります。ECサイト内の「なにを」「どのように」改善するかをはっきりさせるものでもあり、ECサイトの目標を設定するときに多くの企業で利用されています。
企業のECサイトは複数人のチームで運営することが多いので、メンバー全員との団結力アップにも大活躍。同じプロセスを経て、売上アップというゴールに向かうための道しるべになります。
ECサイトの売り上げは、基本的に以下のように計算します。
【売上=サイト訪問者数×商品購入率×平均単価】
そのため、ECサイトで設定されるKPIの項目も基本的には以下のものです。
- サイト訪問者数
- 商品購入率
- 平均単価
ECサイトのための正しい設定が重要
ECサイトの売り上げを伸ばすためには、KPIを正しく設定することがとても重要!
理由はいくつかありますが、主なものは以下の3つ。
- 主観や思い込みに偏らずデータに基づいた対策をするため
- なにをどのように改善するのかをはっきりさせるため
- チーム全体の行動方針や意識を統一するため
特に重要なのが「なにをどのように改善するのかをはっきりさせる」こと。ECサイトの目標だけを決めてしまうと、チーム内での運営の行動方針がズレてしまい達成できないおそれがあるからです。
「なにを」「どのようにして」ECサイトの目標を達成するのか。KPIがしっかりと正しく設定できていれば、途中で行動がブレたり、チーム内での共通認識にズレが生じたりせず効率よくゴールが目指せます。
KPIの注意点
KPIを設定するときは、以下の2つに要注意!事前に知っておき、ECサイト運営の失敗を防ぎましょう。
KGIと混同させない
KPIについて調べると「KGI」という言葉も見かけますよね。KPI設定を曖昧にしてしまう原因がKGI。よく似ているので混同されがちですが、KGIは「Key Goal Indicator」の略称。日本語に訳すと「重要目標達成指標」という意味です。
ECサイトのマーケティングにおけるKGIは、シンプルに売上目標です。
- KGI(売上目標)を達成するために
- KPI(プロセスや指標)をたどる
ことがセオリー。KPIとKGIはまったく別のものですが、似通った表記と意味であるため、誤認されることも少なくありません。
KGIは目標。KPIはKGIに至るまでの指標やプロセス。ECサイトでは、どちらも目標達成のために重要なものなので、間違って覚えないよう注意しましょう。
KPIツリーも作成する
KPIを設定する際は、KPIツリーも一緒に作成しましょう。
KPIツリーとは、KPIとKGIを枝葉のようなロジックツリーとして図式化したもののこと。売上アップという目標を頂点にして複数のKPIを順番に組み立て、末端部分のKPIからこなしていくことで効率よく達成が目指せます。
正しいKPIツリーが作成できれば、目標までの全体像が可視化されるので、
- 課題がわかりやすくなる
- チーム内での意思疎通がスムーズになる
- 次にやるべき施策がすぐにわかるようになる
などのメリットが得られます。
おさえておくべきKPIの基本項目
KPIとして設定する基本項目には以下のようなものがあります。
- セッション数
- ユニークユーザー数(UU数)
- 新規ユーザー数
- リピーター率
- 平均セッション継続時間
- 直帰率
- セッションあたりの平均ページビュー(回遊率)
- トラフィックソース
- 購入割合(CVR)
- 客単価
すべての項目でKPIを設定する必要はありません。運営しているECサイトのデータをしっかりと分析し、売上アップにつながりそうな項目を選んで設定しましょう。
それぞれの意味を詳しく解説するので、確認してみてください。
セッション数
セッション数とは、ECサイトに訪問したユーザーの数のこと。ECサイトの売上を求めるためのとても重要な項目です。
【ECサイトの売り上げ=サイト訪問者数×商品購入率×平均単価】
セッション数を増やすために、多くのECサイトの運営者がさまざまな集客方法を駆使しています。
主な集客方法として、
- SEO対策で検索エンジンからの自然流入数を増やす
- SNS(Instagram・Facebook・Twitter・LINE・TikTokなど)を利用する
- リスティング広告やディスプレイ広告などのWeb広告を出して、認知の拡大を図る
などの対策がとられています。
下記で説明するユニークユーザー数・新規ユーザー数・リピーター率とは大きく違うものなので注意しましょう。
ユニークユーザー数(UU数)
ユニークユーザー数は、基本的に計測期間内にECサイトを訪問したユーザーの人数のこと。セッション数とは異なる方法でカウントするので、混同しないように注意してください。
例えば、計測した特定の日に1人のユーザーが2回ECサイトを訪問したとしましょう。
その日の計測結果は、
- ユニークユーザー数:1
- セッション数:2
となります。
ただし、Googleアナリティクスでは、ユニークユーザー数はブラウザ単位で計測します。同じ人物がGoogleとYahoo!から1回ずつ(計2回)ECサイトを訪問した場合は、ユニークユーザー数は2になります。
新規ユーザー数
上記のセッション数にはリピーターも含まれています。それとは別に、初めてECサイトに訪問したユーザーだけの数もおさえておくべきでしょう。
特に、
- 新しい広告を出した
- SNSやブログを運用し始めた
など、新たな集客方法を開始した際などは注意して確認しましょう。Googleアナリティクスでは「過去2年間で訪問履歴がないユーザー」がカウントされます。
新しい施策を導入するためには、時間的にも金銭的にもコストがかかるもの。そのコストに見合うリターンがあったのか、新しい施策は運用中のECサイトに適しているのか。
新規セッション数から、分析できることもたくさんあります。
リピーター率
セッション数・新規セッション数と合わせて確認しておきたい項目がリピーター率。リピーターは運用中のECサイトに強い興味関心を持っている可能性が高いので、
- 客単価の上昇
- 集客コストの削減
- 長期的なECサイトの利用
- 口コミによる新規顧客の獲得
などが期待できます。
新規顧客の獲得には、広告などの集客施策が必要。一方、リピーターは広告などがなくてもECサイトを訪れてくれるので獲得のための戦略は必要不可欠。
ECサイトを長く運営しているにもかかわらず、リピーターが少ない場合は大きな欠陥があると予想して改善を考えてみましょう。
平均セッション継続時間
平均セッション継続時間は、ECサイトを訪問したユーザーがどれだけの時間サイトに滞在したかを示します。
注意が必要なポイントとして、
- 商品ページやお知らせなど、情報量の多いページは長い滞在が望ましい
- 決済ページやアカウントの登録ページなどは短い滞在が望ましい
というものがあります。
長く滞在していれば、ユーザーはあなたのECサイトのファンだったり興味関心があったりするということ。そのため、基本的にはユーザーのセッション継続時間が長いことは良い結果といえます。
ただ、決済ページやアカウントの登録ページのセッション継続時間が長いのは良くありません。ユーザーが決済の途中で面倒になったり、エラーが発生してあきらめてしまったりとサイトから離れてしまう原因になるからです。
1度ショッピングカートに商品を入れたのに、購入をしてもらえない「カゴ落ち」にもつながるでしょう。大きなチャンスを逃してしまうので、もったいないですよね。
平均セッション継続時間を確認するときは、ページごとの確認も忘れずに行いましょう。
直帰率
直帰率とは、ECサイトを訪問したユーザーが最初の1ページだけを見てサイトから離脱してしまった割合のことです。
すぐにサイトから別のところへ行ってしまったということは、ユーザーにとってサイトが魅力的ではなかったと考えられます。商品・金額設定・集客方法を改善しても、直帰率が高いと売上アップにはつながりません。
直帰率が高くなる原因としては、
- ページタイトルとページ内に相違がある
- 商品紹介ページで購入ボタンが見つかりにくい
- ECサイトのファーストビューが魅力的ではない
- 広告やSNSの画像とサイトのイメージが異なる
- ページの読み込みが遅く画像がなかなか表示されない
などが考えられます。
あなたのECサイトの原因に合わせて改善策を練り、直帰率を減らして平均セッション継続時間を伸ばしましょう。
セッションあたりの平均ページビュー(回遊率)
セッションあたりの平均ページビュー(回遊率)は、ECサイトを訪問したユーザーがECサイト内でページをどれだけ閲覧したかです。
もちろん、閲覧ページが多いほどユーザーがECサイトに興味関心を持っていると考えられます。
ただし、ユーザーが目当てのページを見つけられず探しているだけという可能性も。その場合は、購入の意思があるユーザーを離脱させてしまう原因になるので早急な改善が必要です。
ページをどんどん開いて、最終的に購入へとつながるようなECサイト作りをしてみましょう。
例えば、
- 誤字や脱字がない
- 専門用語が少ない
- 行間や改行が適切
- 文字の大きさやフォントが読みやすい
などが効果的。近年はスマートフォンでのECサイト利用が主流となっているので、しっかり対応させることも重要です。
商品が探しやすく、ユーザーにとって利用しやすいECサイトを目指しましょう。
KPIの設定方法とその後の注意点
どの項目でKPIが必要かがイメージできたら、いよいよ設定へ!目標が達成しやすい方法と、設定後にやることを解説します。
KPIの設定は3ステップ
KPIの設定方法は以下の3ステップ。シンプルですが、達成可能なKPIを設定するためにはECサイトの十分な分析と多くの仮説が必要です。
①KGIを設定する
②KGIの達成に必要な項目を割り出し、KPIとして設定する
③割り出したKPIに具体的な数値を設定する
まずは、具体的かつ現実的なKGIを明確に設定します。KGI達成までのプロセスを予想し、必要な項目を決めてください。
KPIの設定に明確な正解はありません。どういったプロセスで進めていくか、さまざまなパターンの仮説を立てながら最適な項目を割り出しましょう。
KPIを設定するときは、以下の「SMART」を意識すると決まりやすいです。「こうだったらいいな」「こうであってほしい」などの希望的観測や憶測はNG。KPIは明確でなければ意味がありません。全て数値化しましょう。
- Specific:具体的な
- Measurable:計測可能な
- Achievable:達成可能な
- Relevant:関連した
- Time-bounded:期限を定めた
数値の設定ができない項目、例えば「サイトのデザインをよくする」などはKPIとしては不適切です。さらに掘り下げ「サイトのデザイン、ファーストビューを改善し直帰率を○○%以下にする」など、明確な数値を設定しましょう。
KPI設定後は確認と見直しを
KPIを設定しただけでは、当然KGIは達成できません。また、設定したKPIも絶対ではないので、設定後は定期的にKPIを見直して仮説検証をくり返すことが重要です。
まずは、設定した各KPIの達成度合いをそれぞれ分析。それを基に、遅れている項目は別のプロセスで達成できないか、達成した項目の設定数値は低すぎないか、などさまざまな仮説を立てます。
その分析の結果を見て、仮説を基にPDCAサイクルを意識して検証をくり返し、最適なKPIを新たに作成。実行へと移します。効率的な方法で、KGIを達成しましょう。
KPIを設定して売り上げをアップさせよう!
この記事では、KPIの基本・設定方法・設定後の注意点を解説しました。
KPIとは、KGIに至るまでの指標やプロセスです。KPIを正しく設定することで、効率良くKGI(売上アップ)の達成を目指します。
KPIは具体的かつ明確でなければ意味がありません。そのため、設定時には十分な分析と仮説立てを!ただし、当然すべてが予定通りに進むことはありません。
定期的にKPIの達成度合いなどを分析し、より良い方法の仮説を立てましょう。そうしてPDCAを回すことで、あなたのECサイトに最適なKPIが設定できるようになります。