PDCAサイクルはもう古い?そう言われる理由やOODAとの違いを解説
初心者向け
ECサイトのマーケティングを始め、ビジネス全体で有名な「PDCAサイクル」という言葉。最近は「もう古いのでは?」と言われるようになりました。多くの人が使っているので、さまざまな考え方からそういう意見も出てくるのでしょう。
気になるのは「なぜ古いと言われるのか」ですよね。あわせて「PDCAサイクルが古いなら、ほかにもっと良いものはないのか」もぜひ知りたいところです。
ここでは、
「なぜPDCAサイクルは古いの?」
「PDCAとOODAの違いは何?」
「自分に合うのはどっち?」
と気になるあなたへ、古いと言われる理由やPDCAサイクルに対して注目されているフレームワーク「OODA」の特徴をご紹介。違いやどちらかを選ぶときのコツもお届けします。
本記事を読めば、悩みや疑問が解決でき、最終的にあなたにどのフレームワークが適しているのかもわかるはず!ぜひ最後までお読みください。
目次
PDCAサイクルは古いと噂の改善方法
PDCAサイクルとは、4つのステップに分けて業務を順序どおりに進めることで効率的に改善を図っていくフレームワーク(仕組み・枠組み)のこと。1950年代、品質管理研究の大御所であるアメリカの統計学者2人によって提唱されました。
約70年も前から、業務効率化や適切な施策が選択できる方法として愛されているPDCAサイクル。今でも多くの企業や個人から活用され続けるなか、一部からは「もう古いのでは?」という意見も出ています。
- なぜ古いと言われるのか
- 今は良いところはないのか
- 新しい「OODA」と何が違うのか
- 自分にはどちらが合っているのか
今からこちらの詳しい説明をしますが、まずはおさらいとして「PDCAサイクル」の概要を確認していきましょう!
PDCAサイクルの4ステップ
PDCAは、次の4つのステップの頭文字をとった言葉。
- Plan|計画
- Do|実行
- Check|確認・評価
- Action|改善
1つずつ詳しく見ていきましょう。
Plan|計画
PDCAサイクルの最初のPは「Plan(計画)」。始めに「これからの業務は一体何を目指すのか」という目的や目標の計画を定めます。
例えば、
- 自身のECサイトへの流入数を〇〇倍にする
- 商品購入単価を〇〇%上昇させる
などが考えられます。
定める目的や目標は、漠然としたものではなく「いつまでに達成するのか」「どれほどのリソースを投下するのか」などの条件面も決めるようにしましょう。あわせて、どうやって達成するかの施策も考えていきます。
Plan(計画)で定めた目的や目標は、今後の各ステップのベースになります。納得できるような議論を繰り返し、定めた理由についてもはっきりと表せられるようにしましょう。
Do|実行
Plan(計画)の次のDは「Do(実行)」。考え抜いた目的や目標の計画をもとにした施策を実行していきます。結果の振り返りは次のステップで行うため、Do(実行)では一生懸命取り組めばOKです。
Do(実行)で大切なのは、施策のデータを残しておくこと。何をして、どんな変動が生まれたのかなどを具合的な数値で記録しておきましょう。のちのステップで重要となります。
Check|確認・評価
Do(実行)の次のCは「Check(確認・評価)」。実行した施策の振り返りとして、残しておいたデータをもとに目的や目標の達成にどれだけ貢献したのかを分析していきます。大切なのは「数字をもとに客観的に出来事を分析する」こと。感情や先入観はNGです。
Action|改善
PDCAサイクルの最後のステップは「Action(改善)」。Checkの結果に改善を施していきます。「何がダメだったのか」「こうすればもっと効果が高そう」など、振り返りから得られた情報を有効活用してさらに次につなげましょう。
Checkで良かったところは、そのまま継続してください。これも改善に含まれます。どうしても悪い箇所に目が行きがちですが、長所を伸ばすことも重要。良い箇所は伸ばして、悪い箇所は改善するというのが基本的な考え方なので、覚えておきましょう。
PDCAサイクルが古いと言われる理由
概要がわかったところで本題へ。PDCAサイクルが古いと言われる理由を見ていきます。前項の各ステップを見ると、良いことづくめと感じるかもしれません。しかし、人によっては合わない点があります。
古いと言われる理由は、主に次の3つ。
- Planにかける時間が長い
- 革新的なアイデアが出にくい
- 各ステップを面倒に感じる人がいる
各項目を解説していきます。
Planにかける時間が長い
1つ目の理由は「Planにかける時間が長い」ため。たしかに、Planは目的や目標の策定から施策の詳細に至るまで多くの決定事項があり、時間がかかります。
「早く結果を出したい」「すぐに改善したい」という人には、苦手なステップといえるでしょう。取り扱う商材や業界など周囲の環境が目まぐるしく変わる場合も、やはりPlanにあまり時間をかけられないケースが存在します。
革新的なアイデアが出にくい
PDCAサイクルには、これまでになかったようなアイデアが出にくいという特徴があります。ステップに分けて1つずつ丁寧に施策を考えていき、目的や目標の意識を常に持つので意外性・革新的・画期的な考えまでなかなかたどり着きません。
例えば、SNSの普及を背景に登場した「バズる」といった言い回し。ある事柄が短期間に一気に拡散されることで、大きな経済効果が生まれます。そういったなか、PDCAサイクルをひたすら続けることに、少し違和感が生まれる人もいるのだと思われます。
各ステップを面倒に感じる人がいる
最後の理由は「各ステップを面倒に感じる」です。少し感覚的な話かもしれませんが、業務が細かく分けられることに抵抗が生まれるのだと思われます。
例えば、個人事業主が1人でECサイトを運営する場合。PDCAを1つずつ考えるのではなく、ひとまとめにしたり流れ作業のように進めるケースが多いです。
スピード感でいうとスムーズでラクなため、ここからPDCAサイクルという順序立てたフレームワークに切り替えるのは、たしかに難しいかもしれません。
PDCAは今でも良い点が多い!
古いと言われるPDCAサイクルですが、今でも良い点は健在!次項で別のフレームワーク「OODA」を紹介するので、OODAとPDCAの見比べにも役立ててください。
PDCAの良い点は次のとおりです。
- 常に目標意識が持てる
- ムダな業務や施策が省ける
- やることが明確になり迷わない
どれも、ビジネスをするうえでとても重要なことばかり。あなたの現状にPDCAが使えそうかどうかも意識しながら見ていきましょう。
常に目標意識が持てる
1つ目は、常に目標達成への意識が持てること。PDCAサイクルの考え方の1つでもあり、最初のステップ「Plan|計画」で立てた目的や目標を指します。それ以降のすべてのステップでも意識するので、目標を失うタイミングがありません。
皆さんも経験があるかもしれませんが、施策を進めていくといつのまにか目標を見失うことが多々起こります。無関係な仕事を処理したり予想外に労力がかかったりなど、非効率な流れに向かってしまうケースがあるためです。
PDCAサイクルを活用すれば、正しくムダもなく進むことが可能です。
ムダな業務や施策が省ける
2つ目は、目標達成や改善による成果アップに向けてのムダな業務や施策が省けること。常に目標に向かって進められるため、リソースのムダがぐんと減少します。
PDCAを回していくなかで、見当違いの施策を採用したり振り返りで的外れなことを考えたりしなくなります。
ムダが省けると、別の箇所や新たなビジネスに使えるリソースが増加。直接的に利益につながります。
やることが明確になり迷わない
3つ目は、やることがはっきりと分かり迷わないこと。上の2つと似ていますが、こちらは精神面での内容です。
ビジネスは、あらゆることを考えなければなりません。
- Webサイトのこと
- 商品の受発注や管理
- 顧客や取引先とのやり取り
など、業務内容は多岐にわたりそのたびに思考を切り替える必要があります。
ただでさえ多忙なのに、これではストレスがかかって仕方ありません。そんなときにPDCAサイクル。やることが明確になり、迷いが減らせます。考えがクリアになるため、業務効率も上がります。
新たなフレームワーク「OODA」が注目の的
PDCAの新たなフレームワークとして注目を集め始めた「OODA」。呼び方は「ウーダ」で、PDCAサイクルに対して「OODAループ」と言われています。
発祥は、1970年代のアメリカ空軍戦術。ひたすら消耗戦を繰り広げる戦争に、ジョン・ボイドという大佐が「意思決定」に関する新しい考え方を提唱しました。相手より早く最善の策を取ることで、戦況が有利になったというのがOODAのルーツです。
OODAループの4ステップ
PDCAと同じく、OODAも各業務の頭文字をとった言葉。以下の4つに分けられます。
- Observe|観察
- Orient|適応
- Decide|決定
- Act|行動
1つずつ詳しく見ていきましょう。
Observe|観察
最初のステップは「Observe(観察)」。あなたのビジネスの全体を見ることから始まります。取り巻くマーケット・競合他社・対象となるクライアントを調査していきましょう。
例えば、競合他社のサービス内容を調べたり市場の傾向を考えたり。この段階では、大まかに見るだけでOK。どんなことがあるのか、とにかく情報を集めてください。
Orient|適応
2つ目は「Orient(適応)」。ここでは、Observeで得た情報をもとにあなたが次にとる行動の方向性を決めていきます。
例えば、周囲の競合で価格競争が激化している場合。クオリティの低い商品が安く購入できるのであれば、あなたはクオリティを極めた商品を取り扱って差別化を図るとよいかもしれません。
ここでは、あくまで方向性や方針を定めるだけでOK。行動する内容は次で決めます。
Decide|決定
3つ目は「Decide(決定)」。どんな行動をするのか、内容を細かく決めていきます。
Observeで周囲環境の情報を集め、Orientでビジネスの大まかな方向性も定まっている状態。これらをもとに、何をすると良いかを決めましょう。
先ほどの例でいえば、
- どんな商品を仕入れるか
- どんな売り出し方をするか
- どういう広告をどうやって配信するか
などです。
ここで大切なのは「あまり入念に考えすぎない」こと。OODAループは、移り変わる環境に対して柔軟に対応することで成果を生む手法です。考えすぎて動けないのは考え方に背きます。
Act|行動
4つ目は「Act(行動)」。Decideで決めたことを実際に行動していきましょう。いろんな情報があり、方向性もしっかり決まっているのでスムーズに動けます。
また、OODAループもPDCAサイクルと同様にエンドレスで繰り返します。したがって、次のObserveも同時に進めてください。実際に行動している分、周囲の動向などが体感的にわかるはず。気づいたことや思いついたことがあれば、すぐに次のループに入りましょう。
PDCAとOODAはどちらがいいか
「PDCAサイクル」と「OODAループ」の違いを解説します。どちらかに優劣があるのではなく、特徴が大きく違います。それぞれを理解して、あなたに合うほうを選びましょう。
違いは回すスピード
それぞれの違いはスピード感。PDCAはゆっくり、OODAは素早いです。
外部的な市場や競合他社への対応についても同様で、PDCAは各ステップにしっかりと時間をかけますが、OODAはどの工程もスピード感を持って進めます。
選ぶコツは周囲環境の移り変わりと改善するペース
どちらを選ぶか迷ったときは「周囲環境の移り変わり」と「改善するペース」で選ぶとよいでしょう。
周囲環境の市場がすぐに変わったり、競合の参入が激しいのならOODAがおすすめ。今でいうと、AI業界やWeb業界が例として挙げられます。
しっかりと策を練り、計画的に改善する必要がある場合はペースがゆっくりなPDCAがよいでしょう。課題が明確になり、分析もするので着実に改善が図れます。
PDCAもOODAも効果的!あなたに適したフレームワーク選びを
「PDCA」「OODA」ともに特徴があり、どちらにもメリット・デメリットがあります。「PDCAサイクルは古い」と言われていますが、決して使いにくいだとか、もう効果がないというわけではありません。
スピーディに改善したい、周囲の移り変わりが激しいならOODA!
着実に改善したい、1つずつ丁寧に検証しながら進めたいならPDCA!
あなたのスピード感に合うほうを選び、ビジネスの成功に近づきましょう!