ECサイトのカゴ落ちとは?原因と対策10個を徹底解説
ECコンサル
ECサイトの売り上げを伸ばすには「カゴ落ち」の対策が絶対に必要。せっかくあなたの商品を気に入ってショッピングカートに入れてくれたのに、最後の「購入ボタン」が押されないのはもったいないです。
そこで、今回は
「そもそもカゴ落ちってなに?」
「なぜカゴ落ちしてしまうの?」
「商品は気に入られているはずなのに、購入につながらないのはなぜ?」
とお悩み中のあなたへ、カゴ落ちの原因や防ぐ方法、対策をするときの注意点をご紹介します。あなたのECサイトに合わせた効果的な「カゴ落ち」の対策をすれば、売上アップ!しっかり解説するので、ぜひ最後までご確認ください。
目次
ECサイトのカゴ落ちはすぐに対策を!
カゴ落ちはチャンスを失うもったいない状況
カゴ落ちとは、ECサイトに訪れたユーザーが商品に対して、1度は購入を考えたにもかかわらず購入にいたらなかった状況を指します。
例えば、
- ショッピングカートに入れた
- 買い物かごに追加した
など。
ユーザーが購入の直前に考え直すという行動は、実際の店舗販売でも珍しくないため問題であると認識されないのがしばしば。しかし、実際はすぐに対策しなければならない大きな問題です。
なぜなら、
- 需要のある商品を販売する
- 購入の意思があるユーザーを集客する
という、ECサイトの運営で重要なことに成功しているにも関わらずチャンスを逃している状況だからです。
カゴ落ちしているということは、実際にユーザーがECサイトに訪れているので集客は成功している可能性が高いと考えられます。
また、ショッピングカートに入れるというアクションがあったということは、ユーザーが商品に興味関心があり購入する意思があったということです。
つまり、カゴ落ちとは、対策できるにも関わらず取りこぼしている可能性がある「損失」。
▼もし、ECサイトの売り上げが伸びない理由がわからない場合は、まずこちらの記事を確認してみてください。
改善しなければならないポイントを分析する方法について紹介しています。
ECサイトの分析方法とは?見るべき指標・項目や必須ツールを紹介
カゴ落ちしてしまう理由
Baymard Institute社の調査によると、商品をショッピングカートに入れたユーザーの約7割が途中でサイトから離脱しカゴ落ちしていることがわかっています。
決済時、カートページから離脱する理由に関するアンケートの結果は以下のとおり。
- 48 %|送料、手数料などの商品以外の金額が高かった
- 24 %|アカウントの作成、会員登録が必要だった
- 22 %|商品の発送、到着が遅すぎる、または速達がなかった
- 18 %|サイトに不信感があり、クレジットカード情報を登録したくなかった
- 17 %|決済までの手順が長すぎた、複雑すぎた
- 16 %|事前に合計金額が表示されていなかった
- 13 %|ウェブサイトにエラー、またはクラッシュが発生した
- 12 %|返品ポリシーが満足のいくものではなかった
- 9 %|希望する支払い方法の選択肢がなかった
- 4 %|クレジットカードが使えなかった
決済までの手順やサイトエラーなど、すぐにでも改善できる理由でカゴ落ちしています。
同じく、Baymard Institute社の調査で、ECサイトの決済方法を改善したり設計を変更したりするだけでコンバージョン率が35.26%増加する可能性があることもわかっています。
ユーザーの集客は成功しているのに、コンバージョン率が低いと考えている場合は上記のどれかに当てはまっている可能性が高め。すぐに確認しましょう!
※参照元:48 Cart Abandonment Rate Statistics 2022 – Cart & Checkout – Baymard Institute(2022年11月時点)
カゴ落ちを防ぐ10の方法
カゴ落ちの理由はさまざま。簡単なものなら、今すぐにでも実行して改善につなげられます。また、カゴ落ち対策はECサイトのデザインやユーザビリティの向上にも効果が期待大!
- 送料や手数料などを無料にする
- アカウントの作成や会員登録を不要にする
- 配送方法の選択肢を増やす
- サイトの安全性や信頼性を証明する
- 決済完了までの手順を簡単にする
- 事前に合計金額を表示する
- ECサイトのサーバーを強化してシステムを安定させる
- 返品や交換の条件を明記する
- 支払方法の選択肢を増やす
- カゴ落ちメールを利用する
こちらの対策方法や注意点を1つずつ見ていきましょう。
▼ECサイトのデザインについてはこちらの記事を確認してみてください。
ECサイトのデザインに重要な3つのポイント。参考サイトや本も紹介 | EC総合支援のWCA
送料や手数料などを無料にする
カゴ落ちの理由でもっとも多いのが「送料や手数料などの商品以外の金額が高かった」です。約半数のユーザーがこの理由でカゴ落ちしており、改善は必須でしょう。
できれば、送料と手数料ともに無料にするのがもっとも効果的。しかし、実際にはとても難しいのが現状です。
改善方法は、例えばこちら。
- 送料と手数料を含めた金額を商品代金とし、送料無料と表記する
- 複数の商品を購入し、合計金額が一定額以上になったときに送料を無料にする
ただ、このように表示する際には競合他社の金額設定に要注意。競合他社をリサーチし、慎重に決めましょう。
多くの場合、他社ECサイトでも同じもしくは類似した商品を取り扱っているでしょう。ユーザーの多くは、ネット上で商品を購入するときにほかのECサイトと金額を比べます。送料無料と表記しても、合計金額が他社よりも高額であれば意味がありません。
アカウントの作成や会員登録を不要にする
当然のように求められるアカウントの作成や会員登録。実は、24%もの割合でカゴ落ちの原因となっています。
アカウントを作成してもらうと、
- 次回以降の購入が簡単になり、継続的な利用が期待できる
- ユーザー情報が管理しやすい
などのメリットが生まれますが、カゴ落ちの原因となっていては意味がありません。
アカウントの作成や会員登録は、完全になくすことはできなくてもカゴ落ちを減らすのは可能!
例えば、
- 登録が必要な情報を最低限にする
- ソーシャルログイン(FacebookなどのSNSやGoogleなどのアカウントで登録すること)を利用する
- アカウント作成にクーポンやポイントをつける
など、ユーザーの手間や面倒が減らせたり登録にメリットが付加できたりします。
個人情報の登録自体に抵抗があるユーザーもいるので、アカウント作成のハードルを下げることも重要。SSLサーバ証明書の掲載など、ECサイトの安全性や信頼性を証明しましょう。
配送方法の選択肢を増やす
カゴ落ちの理由としてもっとも多いのが高額な送料。基本的に、多くのユーザーは配送に時間がかかったとしても送料無料を選びます。速達など、高額な送料がかかる配送は好まれません。
ただ、「発送や到着が遅い」「速達がない」のが原因でカゴ落ちする割合も22%と決して低くないのも事実。「すぐに商品が欲しいから送料は気にしない」など、優先順位はユーザーの都合によって違うからです。
- 料金を上乗せし、よりスピーディに受け取れる速達
- ポストへの投函で不在時にも受け取れるメール便
- 万が一のトラブルがあっても安心の書留
- 通常の宅配便よりも安価な軽貨物配送
など、配送方法の選択肢を増やしてカゴ落ちを防ぎましょう。
サイトの安全性や信頼性を証明する
近年、インターネットショッピングの利用者は爆発的に増加中。それを悪用したフィッシング詐欺や偽ECサイトなどの犯罪が急増しています。
犯罪を警戒し、インターネット上でクレジットカード情報などの個人情報の登録に強い警戒心があるユーザーも多くなりました。
サイトからの離脱率も高いので、
- セキュリティの強化をアピールする
- SSL証明書のロゴを表示し、個人情報の厳重な取扱をアピールする
などの対策をとり、サイトや企業の安全性・信頼性を明確に証明しましょう。
決済完了までの手順を簡単にする
「決済までの手順が長すぎた、複雑すぎた」ためにカゴ落ちしてしまう割合は17%。多くはありませんが、決して放置してもいい割合ではありません。
継続的な購入を期待し、より多くのユーザー情報を把握したいと、さまざまな項目の登録や入力を求めるECサイトがあります。しかし、決済完了までの手順はできる限り簡単にするべきでしょう。
また、はっきりとした意図もなく、長くて複雑な手続きを要求するとユーザーの不信感や警戒心の刺激にも。
- アカウントの登録時に入力した情報を反映させる
- 入力ページのデザインをシンプルにする
- サイトページの遷移を最小限にする
このように、設計やサイトデザインの変更など簡単に改善できるものがカゴ落ちの原因かもしれません。早急に改善しましょう。
実際、大手のECサイトでも決済ページの簡略化が進んでいます。決済完了までの手順が簡単で少ないほど、カゴ落ちが減るのは間違いありません。
事前に合計金額を表示する
「事前に合計金額が表示されていなかった」ことが原因のカゴ落ちの割合は16%。
ただし、この理由の場合は、
- 購入する意思はもともと低く、送料や合計金額の確認が目的でショッピングカートにいれた
- 事前に表示された金額より高くなり、購入意欲が低下。または不信感をあおった
という可能性があります。
もともと購入の意思が低かった場合は、競合他社と比較するなどユーザーが納得すれば改めて購入につながる可能性大。一方、ユーザーに不信感や警戒心を与えてしまうとECサイトや企業全体のイメージダウンにつながるおそれがあります。
どうしても事前に表示できない理由やこだわりがあるのでなければ、合計金額は事前に表示するべきでしょう。
ECサイトのサーバーを強化してシステムを安定させる
「ECサイトにエラーが出た、クラッシュが発生した」ことでカゴ落ちした割合は13%です。
ただし、この数字はカゴ落ちのみ。決済ページでエラーやクラッシュが発生しているのなら、そのほかのページでも発生しているかもしれません。
この場合は、商品の魅力や金額に関係なく多くのユーザーが閲覧途中で離脱してしまう状況。大きな損失の原因にもなるので、サーバーの強化やシステムの安定を定期的に確認するべきでしょう。
また、決済ページのエラーは入力間違いによるエラーの可能性もあります。間違いを赤字で表示する「入力アシスト機能」の導入も対策として有効です。
返品や交換の条件を明記する
返品や交換の条件などの注意事項は少し大げさなくらいしっかりと明記しましょう。
インターネットショッピングでは、実際の商品を見ずに購入するユーザーがほとんど。サイトに表示されている商品画像と、実物の色味やサイズなどが違うと感じることは珍しくありません。
当然、ユーザーの多くはそれを事前に把握しているので返品や交換の条件は購入を決める際の重要なポイントになります。Amazonなど、一部の大手ECサイトは返品や交換のポリシーが多くの人に周知されているため、さほど大きく明示していなくても安心感があります。
ユーザーに安心して利用してもらうため、また、購入後の返品交換に関するトラブルをできるだけ避けるためにも、わかりやすい内容かつ導線で掲載するとよいでしょう。
支払方法の選択肢を増やす
決済方法の種類が少ないと、得られるはずだった売り上げを逃すことに。決済方法は可能な限り複数用意しておきましょう。
ECサイトで設定できる決済方法はさまざまです。
例えば、
- クレジットカード決済
- コンビニ支払い
- 電子マネー
- 代引き
- 後払い
などがあります。
クレジットカード情報を登録したくない人、特定のポイントを貯めている人。ユーザーが希望する決済方法もさまざまなので、希望しているものがない場合はほとんどが購入しないといわれています。
カゴ落ちメールを利用する
カゴ落ちには、購入する意思がない理由のほかにも、
- 他社の類似商品と比べたかった
- 他社の商品と金額を比べたかった
- 忙しくて購入する時間がなかった
など、購入する意思があるものがあります。そういったユーザーに思い出してもらい購入を促すのがカゴ落ちメール。
送るタイミングは複数あるので、ユーザーの反応を確認しながら利用しましょう。
カゴ落ち対策の注意点
カゴ落ち対策は、ECサイトの設計やデザインを改善するだけで、売上アップが狙える重要なポイント!
しかし、カゴ落ちの原因がわからないままやみくもにサイトを変更すると、サイトエラーにつながったり成功していたマーケティングを潰してしまったり。予想外のトラブルが発生しかねません。
特に、要注意なのが以下の2点。
- 金額に関する変更はユーザーの不信感につながる
- デザインや動線の変更はユーザーの負担になる
カゴ落ちの対策をするときは、上記の「カゴ落ちしてしまう理由」に当てはまっているか、運営中のECサイトを十分に確認してから計画的に進めていきましょう。
金額に関する変更はユーザーの不信感につながる
送料や手数料だけではなく、返品や返金の条件など金銭に関する変更はユーザーに不信感や不安を与えます。
それが「サイトに不信感があり、クレジットカード情報を登録したくなかった」という新たなカゴ落ちの原因をつくることになりかねません。
カゴ落ちの理由でもっとも多いのが「送料や手数料などの商品以外の金額が高かった」でしたね。48%と、約半数のユーザーがこの原因でカゴ落ちしているため、すぐにでも改善したい項目です。
対策方法は、
- 送料や手数料を無料にする
- 送料や手数料を含めた金額を商品代金とし、送料無料と表記する
- 複数の商品を購入し、合計金額が一定額以上になったときに送料を無料にする
などが考えられます。
しかし、効果が出ずに売り上げが下がってしまうおそれも。そうなった際、収益を伸ばすために送料や手数料を有料に戻すのは難しいかもしれません。
1度あなたのECサイトで金額を見たユーザーは、実店舗や他社サイトと比べていたり、下がるタイミングを狙っていたりします。
変更すると気づかれやすいので、不信感につながらないよう十分に注意しましょう。
デザインや動線の変更はユーザーの負担になる
デザインや動線は、ユーザーへの負担を考えながら変更しましょう。
確率は低いですが、少し変更するだけで簡単に改善できるカゴ落ちの理由もあります。
- 決済までの手順が長すぎた、複雑すぎた
- ウェブサイトにエラー、またはクラッシュが発生した
- 希望する支払い方法の選択肢がなかった
しかし、ひんぱんにサイトのデザインや動線を変えるのはNG。ユーザーが面倒に感じ、安定した運用をしているECサイトに乗り換えてしまうおそれがあります。
特に、デザインや動線が大きく変更されたサイトは、前回と同じ場所に目的のものがない「商品が見つかりにくい」「使いにくい」サイトに。広告費などをかけなくても利用してくれるリピーターが離れてしまうのは大きな損害です。
▼ECサイトのリニューアルに失敗しないための注意点については、こちらの記事でも詳しく解説しているので確認してみてください。
ECサイトのリニューアルを失敗しないためには?手順や注意点などを解説
カゴ落ち対策で売り上げアップを目指す!
この記事では「カゴ落ち」について解説しました。
カゴ落ちとは、商品をショッピングカートに入れたにも関わらず購入にいたらないこと。調査によってショッピングカートに商品を入れたユーザーの約7割がカゴ落ちしていることがわかっています。
理由はさまざまですが、その多くは対策が可能!
特に、ECサイトの使いにくさが原因のカゴ落ち対策はすぐにでも実施、リニューアルすることで、短期間で売上アップにつながる可能性が十分にあります!
本記事で紹介した対策が、あなたの運営しているECサイトのカゴ落ちを減らし、売上アップにつながれば幸いです。