【担当者必見!】SNSを活用したECサイト集客戦略と成功事例まとめ
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新たな集客・販促チャネルとしてSNSを活用する企業が増えています。しかし、「どこから手を付けてよいのかわからない」「自社ビジネスに合うSNSはどれ?」などと、導入の第一歩に悩んでいるEC運営担当者の方もいらっしゃることでしょう。
そこで本記事では、
- SNS運用をするべき理由やメリット
- 代表的なSNSの種類と特徴
- SNS運用のコツ
- ECサイトで役立つSNS集客の機能と成功事例
などを解説します。
この記事を読めば、SNS運用の全体像が見え、どのような準備を始めるべきかわかるようになります。ぜひ自社施策にお役立てください。
目次
SNSを活用するべき理由とは?
ECサイト運営でSNSを活用するべき3つの理由について解説します。
集客・販促の拡大
まず第一に、SNSを利用することで集客の拡大につながります。SNSには膨大なユーザーがいるため、その中からブランドコンセプトに合ったターゲットに向けて情報発信することができます。
各SNSを上手に活用することで、販促活動にもなります。
フィード上で新商品の特徴をアピールするだけなら無料でできますし、その投稿を広告にすることで、より多くの見込み客にアプローチすることも可能です。
商品・サービスの拡散
SNSは「いいね」や「リツイート」などによる情報拡散効果が見込めます。魅力的なコンテンツや広告を制作すれば、自社と直接のつながりがないユーザーにも情報が広がり、想定以上の効果が出ることがあります。
この点、ECサイトには商品の口コミ・レビューの掲載はできますが、SNSほどの情報拡散効果はありません。
また、SNSで情報が拡散されてWebサイトやブログなどで自社サイトが紹介されると、上質な被リンクの獲得につながります。その結果、SEOとしても効果を発揮する場合があります。
広告以外からのファンの獲得
SNSは広告以外の経路で、ファンを獲得しやすい特徴があります。
- お気に入りのインフルエンサーが自社商品を紹介していた
- 記事や動画が面白かったのでアカウントをフォローした
- 双方向コミュニケーション機能で悩みやニーズを聞いてもらえた
上記のような経路で自発的にSNSをフォローしてくれたユーザーとは継続的なコミュニケーションを取りやすくなり、ファン化もしやすいです。
代表的なSNSの種類と特徴一覧
ここでは代表的なSNSの種類と特徴を、企業のEC運営担当者の視点でご紹介します。
また、2020年にアライドアーキテクツが行った「SNSの情報をきっかけや参考に初めて利用するECサイトで商品を購入したことがある人」(※)のアンケート調査に基づいて、各SNSの購入割合と、そのランキング情報も紹介します。
※以降、「ECサイト購入率」と表記
アライドアーキテクツの調査によると、InstagramユーザーのECサイト購入率は、主要SNSのなかでトップの60.7%でした。
その背景には、Instagramが視覚的に訴える要素が強く、購買のアクションを誘発しやすい特徴があるからです。特に、コスメやアパレルなどのようにイメージが重視される商材の良さをアピールしやすい媒体とされています。
【ユーザーの特徴】 ・国内利用者数:約3,300万人(2019年時点) ・利用年齢層:10代~30代中心 ・男女利用率:男性35.3%、女性49.3% ・利用目的:著名人、友人、知人の投稿閲覧、興味関心がある分野の情報収集など |
【その他の特徴】 ・広告種類:写真広告、動画広告、ストーリーズ、カルーセル、コレクション、発見タブ ・相性のよい商材:アパレルやコスメ(メインユーザーの関心度が高い、ビジュアルコンテンツと相性がよいため) ・eコマース機能:Instagram広告ではショッピング機能を利用できる |
出典:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
出典:20代の約35%はInstagramからコスメを購入、化粧品プラットフォームNOINが30万件以上の購買データを活かしたメーカー向けオンライン販売支援プランを提供開始
FacebookユーザーのECサイト購入率は54.4%で、主要SNSのなかで第3位です。実名登録制であるのが特徴で、仲間同士のコミュニケーションのほか、ビジネス交流の場にもなっています。
コンバージョン率が高い業界は下記です。
- 教育(13.58%)
- 雇用と職業訓練(11.73%)
- ヘルスケア(11.00%)
- 不動産(10.68%)
- BtoB(10.63%)
出典:Facebook Ad Benchmarks for YOUR Industry [Data]
【ユーザーの特徴】 ・国内利用者数:2,600万人(国内利用者数) ・利用年齢層:20代〜30代中心 ・男女利用率:男性32.4%、女性31.4% ・利用目的:友人、知人の投稿閲覧、興味関心がある分野の情報収集、ニュースの検索など |
【その他の特徴】 ・広告種類:画像・動画広告、スライドショー、カルーセル、キャンバス、コレクション、ダイナミック広告、リード獲得広告、クーポン、イベント ・相性のよい商材:ターゲットが明確な商材、業務用の機器や衣類など(役職や業界属性でターゲティングしやすいため) ・eコマース機能:「ショップ」機能でオンラインショップを無料開設できる |
出典:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
TwitterユーザーのECサイト購入率は55.2%で、主要SNSのなかで第2位です。Twitterの最大の特徴はリツイートによる情報拡散効果です。
【ユーザーの特徴】 ・国内利用者数:4,500万人(2017年時点) ・利用年齢層:10代~40代中心(※20代の利用率が高い) ・男女利用率:男性42.7%、女性41.8% ・利用目的:最新情報の検索、著名人のアカウントフォローなど |
【その他の特徴】 ・広告の種類: プロモツイート、プロモアカウント、プロモトレンド ・相性のよい商材:季節物、トレンド商品、期間限定キャンペーンを実施しやすい商材 ・eコマース機能:アプリ内のボタンから商品購入できる「Shop Module」機能がリリースされる見込み |
出典:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
LINE
LINEユーザーのECサイト購入率は51.9%で、主要SNSのなかで第5位です。直接的なコンバージョンという意味では、やや弱い面があるといえるでしょう。
しかし、国内利用者数は9,000万人と膨大で、他の媒体ではリーチしにくいシニア層向け商材などの集客、販促もできます。
また、トーク機能やメッセージ配信機能が充実しているため、既存顧客とのつながりを維持したいECサイト事業者、サロンやカフェなどの実店舗経営者にも向いています。
【ユーザーの特徴】 ・国内利用者数:9,000万人(2022年時点) ・利用年齢層:全世代 ・男女利用率:男性88.0%、女性92.7% ・利用目的:日常のコミュニケーション |
【その他の特徴】 ・広告種類:LINE内広告、LINE広告ネットワーク(ディスプレイ広告、動画リワード広告) ・相性のよい商材:膨大なユーザー数がいるため規模や業種・商材も問わない ・eコマース機能:LINE公式アカウントの「リッチメニュー」機能で外部サイトに誘導できる |
出典:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
出典:集客にLINEを活用すべき理由丨企業・店舗向けLINE公式アカウント活用法
YouTube
YouTubeユーザーのECサイト購入率は53.1%で、主要SNSのなかで第4位です。人気YouTuberの動画に広告を出せば、マス広告に近い効果も期待できます。
YouTubeに自社チャンネルを開設して、自社ブランド商品を広告する手法も一般的になっています。また、ウェビナー(Web上のセミナー)を開催して集客、販促施策にする企業も増えてきました。
【ユーザーの特徴】 ・国内利用者数:6,500万人以上(2020年時点) ・利用年齢層:10代~50代中心 ・男女利用率:男性87.9%、女性82.5% ・利用目的:娯楽視聴 |
【その他の特徴】 ・広告種類:TrueViewインストリーム、TrueViewディスカバリー、バンパー、アウトストリーム、マストヘッド、オーバーレイ ・相性のよい商材:ゲーム・おもちゃ・美容・食品などタイアップ動画に向く商材 ・eコマース機能:特になし |
出典:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
参考:YouTuberを活用したタイアップ動画の態度変容効果を検証
TikTok
TikTokは先のアライドアーキテクツ調べではECサイト購入率についてのデータはありません。
TikTokにおいても「TikTok売れ」と呼ばれる拡散現象が見られます。実際に動画1本でお菓子や小説が売り切れになるような事例が増えており、EC業界でも新たなビジネスチャンスと捉えられています。
【ユーザーの特徴】 ・国内利用者数:1,690万人 ・利用年齢層:10~20代 ・男女利用率:男性15.3%、女性19.4% ・利用目的:人気動画の閲覧、動画の投稿 |
【その他の特徴】 ・広告種類:起動画面広告、インフィード広告、ハッシュタグチャレンジ、運用型広告 ・相性のよい商材:若年層向け商品 ・eコマース機能:ShopifyとのEC連携機能 |
出典:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
参考:企業が始めるSNSの向き不向き、事前にこれだけは確認すべし【Instagram、Facebook、TikTok編】
SNS運用の具体的な方法とコツ
SNS運用で成功するコツは、成功の仕組みを作って継続的に取り組むことです。ここでは、アカウント作成、コンテンツ作成、SNS運用の体制作りの3つの段階における、具体的な取り組み方法とコツを解説します。
アカウント作成
アカウントを作成する際に必ず決めておきたいのは目的とターゲットです。
目的例 | ・ECサイトへの集客人数を3割増やす →KPIを流入数3割アップに設定する ・顧客サポートのひとつとしてSNSを活用する →KPIをDMの回数などに設定する ・自社ブランドのブランディングを行う →KPIをフォロワー数、インプレッション数、動画再生回数などに設定する など |
ターゲット例 | ・20~30代女性 ・BtoB企業の管理職 など |
目的を具体的に設定するコツは、SNSのアカウント管理上で分析可能な指標をKPIにすることです。例えば、広告のクリック率やフォロワー数、動画再生回数などです。
また、自社のターゲットに合ったSNSの選定も重要です。メインターゲットとなる年齢、性別、職業などのユーザーが多くいるSNSを選びましょう。
SNSとの相性を確認する場合は、自社の典型的なユーザー像として「ペルソナ」を作成すると精度が上がります。
「好きなインフルエンサー」「情報収集の仕方」「普段の生活パターン」のように具体的にペルソナを作成すると、アカウントを開設するべきSNSがより明確になります。
コンテンツ作成
コンテンツ作成で最も重要なのは、ブランドや商品のコンセプト、特性にあった伝え方をすることです。
- 商品の機能性に特徴がある商品の場合
→商品の機能性を動画やテキストでわかりやすく説明する
- 作り手の想いがこもった商品の場合
→商品完成までのストーリーを伝え、ブランド価値をアピールする
また、「こんなことが知りたかった」「面白い」などとターゲットに思ってもらえるかどうか、ターゲット側の視点も忘れずにコンテンツ内容を考えることも重要です。
SNSには、媒体側がユーザーの興味・関心を推測して自動的に表示順を並び替えるアルゴリズムが備わっています。SNSの運用に慣れてきたら、それぞれのアルゴリズムの理解も進めていくとよいでしょう。
SNS運用体制
SNS運用は手間がかかるにもかかわらず短期間では成果が出ないため、継続的にこまめに取り組むことが大切です。
できれば、それぞれのフェーズ毎に担当者(責任者)を置いて、会社やチーム全体で取り組む体制をつくるようにしましょう。
区分 | 主な内容 |
コンセプト設計 | 運用目的の設定、顧客・市場調査、炎上対策ガイドライン作成など |
企画立案 | 企画立案、ターゲット設定、アプローチ方法決定など |
コンテンツ制作 | 記事、動画制作など |
コンテンツ投稿・管理 | 配信管理、成果測定など |
例えばEC運営担当者がSNS運用も担当すると、業務過多による人的ミスやクオリティーの低下、客観的な評価などの部分において悪影響が出ることが考えられます。
独断で進めようとせずに、多様な意見を取り入れたり、外部リソースを上手く活用しながら一人ひとりの負担を軽減して継続できる体制を整えることが、SNS運用を成功させるポイントです。
ECサイトで役立つSNSのeコマース機能と活用事例
ここでは、より具体的なSNS集客のイメージが持てるように、
- Instagramショッピング
- LINE公式アカウント
- Twitter商品購入機能
これら3つの機能を取り上げ、実際の活用事例を併せてご紹介します。
Instagramショッピング
Instagramショッピングとは、Instagram上に無料で設置できるショップ機能です。
画像引用:Instagram
ユーザーは写真や動画をタップすることで、
- 商品詳細を確認する
- テーマごとに並び替える
- 気になる商品を保存する
- そのまま購入する
などのアクションが実行できます。
【成功事例】 インテリアブランド「songdream」において、Instagramショッピングの機能で特にインパクトが大きかったのが「タグ付け」の機能です。 同社ではビジュアルコンテンツ重視のInstagramが、高額のインテリア商品と相性がよいことがわかったため、積極的なアカウント運営を行っています。投稿する商品にタグ付けするだけで、ワンタップで商品詳細を見せられ、ECサイトに遷移できる機能を実装できることは画期的だったといえます。 この結果、売り上げ向上を達成しただけでなく、問い合わせ件数も減らせて接客コストもカットできました。 参考:songdream_japan |
LINE公式アカウント
LINE公式アカウントとは、顧客とコミュニケーションを図るための、企業・店舗向けサービスです。
画像引用:LINE for Business
代表的な機能は、次のとおりです。
- メッセージ配信(セグメント、ステップアップメッセージなど)
- LINEチャット(1対1のトーク、チャットボットなど)
- クーポン、抽選券の配布
- ショップカード発行
- リッチメニュー(問い合わせや購入などの機能を実装できる)
- 広告出稿
【成功事例】 アパレル雑貨ショップ「チチカカオンラインショップ」は、クーポン・抽選機能によって、来店者数と売り上げを大幅に伸ばすことができました。 具体的な施策としては、 ・オンラインショップ限定の1,500円クーポン ・実店舗のポイントが2倍になるクーポン ・チチカカのオリジナル壁紙 などの特典をLINE公式アカウントの「友だち」(アカウントを登録したユーザー)に届けています。 参考:songdream_japan |
LINEは普段使いのアプリであることから、メルマガなどより開封率が高いことが特徴です。LINE公式アカウントの開封率の目安は60%であるのに対して、メルマガは10~30%です。
このため成果を見込みやすい手法として、LINE公式アカウントのクーポン・抽選機能を活用するECサイト、店舗が増えています。
参考:LINE公式アカウント導入で、EC売上を130%アップさせたアパレル雑貨ショップ
Twitter商品購入機能
Twitterでは一部のツイートに商品購入機能を持った「Shop Module」を追加できます。
画像引用:Twitter Japan
2022年7月現在で公式発表がないため詳細は不明ですが、新たなショップカードでは、
- 商品名
- ショップ名
- 商品価格
- Shopボタン
を設定できる仕様です。
すでにアメリカの一部のビジネスアカウントでテスト運用が開始されており、
- アイテムをスライドできるカルーセル
- 任意の商品をタップすると商品詳細を確認し、Twitter内で購入できる
などの機能が実装されています(イメージは上図参照)。
本格運用が開始されれば、ECサイト運営者を中心に導入が進むことでしょう。
SNS運用で集客の幅を広げよう
デジタルシェルフ総研の調査によると、SNSを上手に活用できているEC運営者は多くいる一方、「効果を実感していない」と答えた事業者の割合は半数以上に上ります。そして、その理由として「運用人材の不足」が最多を占めています(下図参照)。
自社においても、SNS運用でよりよい効果を発揮するためには、人員の確保と専門の担当者が必須かもしれません。もし人的リソースが足りていないなら、アウトソーシングも視野に入れてはいかがでしょうか。
WCAではECサイト運営を全般的に支援しています。ビジネス拡大に必要なマーケティングを得意領域としており、お客様のビジネス、顧客を深く理解したうえで、最適なコミュニケーション施策を展開します。