オムニチャネルって何?基礎知識やECサイトでの成功事例を紹介
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スマートフォンの普及により、ウェブマーケティング業界で耳にすることが多くなった「オムニチャネル」。オンライン・オフラインにかかわらず複数の販売経路を活用するマーケティング戦略だということはわかっていても、具体的な内容や事例についてしっかりと理解できている人はそれほど多くないのではないでしょうか。
今回はそんなオムニチャネルについて、基礎知識や活用方法、ECサイトでの成功事例などを紹介していきます。
目次
オムニチャネルとは
オムニチャネル(Omni-channel)とは、実店舗やウェブサイト、スマートフォンアプリ、雑誌などさまざまなメディアを活用して企業と顧客の接点(タッチポイント)をつくり、それぞれを連携させることで顧客にとって最適な販売経路から消費行動へとつなげる戦略です。
オムニチャネルはアパレル業などを中心に広まっている販売戦略で、例えば、洋服を買いに店舗に行った際に在庫がなかったとしても、店舗側がECサイトで在庫を確保し、後日商品を届けるように手配するといったケースがオムニチャネルの導入事例となります。「オムニ」とは、「すべて」を意味するラテン語で、「チャネル」は英語の「Channel」に由来し、「販売経路」を意味する単語です。
オムニチャネル化のメリット
複数の販売経路を活用するオムニチャネル化のメリットは、大きく分けて3点挙げられます。
顧客の満足度が向上しやすい
オンラインやオフラインでさまざまなメディアを連携させることで、適切な在庫管理が可能になります。顧客の機会損失を減らすことができ、結果として顧客の満足度向上へとつながるでしょう。
データの管理・分析がしやすい
すべてのメディアを連携させることでデータを統合することができ、一貫したマーケティング戦略が立てやすくなります。また、各メディアのデータを分析することで顧客のニーズに合致した販売促進を行うことが可能になります。
機会損失を減らせる
オムニチャネル化することで、それぞれのメディアだけでは取り込むことができなかった顧客にリーチすることが可能になり、顧客の機会損失を減らすことができます。
オムニチャネル化の注意点
メリットが大きいオムニチャネル化ですが、注意すべき点もいくつかあります。
実店舗とオンラインの競合化
オムニチャネル化をすることによって、実店舗で購入予定だった顧客がECサイトやSNSなどオンラインのメディアに流れることで実店舗のショールーム化・売上低下につながる可能性があります。オムニチャネル化を目指す時には、実店舗で購入するメリットをしっかりとつくるなど、それぞれのメディアで差別化をする必要があります。
コストがかかる
複数のチャネルを活用するオムニチャネル化を図るためには、一定のコストがかかります。ECサイトやSNSアカウントの運用など、新たなメディアを増やす資金や各チャネルをまとめるためのシステム、データベースの管理など、まとまった初期費用が必要になるでしょう。
認知度向上への工夫が必要
オムニチャネル化を図る際、実店舗のほかにECサイトの立ち上げやSNSアカウント、アプリの開設などさまざまなメディアを運用していくことになります。その時に大きな課題として立ちはだかるのが「集客」です。集客がうまくいかなければ売り上げも増加していきませんし、せっかくのオムニチャネル化も有効活用できません。集客を増やすための認知度向上のために、ネット広告の出稿やSEO対策などさまざまな工夫をしていくことが重要になります。
オムニチャネル化の成功事例
各業界でもオムニチャネル化を推進している企業が続々と登場しています。ここではオムニチャネル化に成功している企業の代表的な事例を紹介します。
ユニクロ(UNIQLO)
ファッションブランドとして世界中のユーザーから愛されている「ユニクロ(UNIQLO)」を運営する株式会社ファーストリテイリングは、かなり早い段階からオムニチャネル化を図っていた企業の代表例です。
世界中に店舗を持つユニクロですが、ECサイトやスマートフォンアプリを通じた通販も行っており、オリジナルアプリに搭載されている「UNIQLO IQ」というサービスではAIチャットボットが在庫や注文に関する確認やコーディネートの相談ができます。また、アプリの利用やダウンロードを促すため、アプリ内だけの限定価格で商品を販売していたり、クーポンの発行なども行っています。
こうした実店舗との差別化が実を結び、アプリのユーザー数は全世界で1.4億人に達しました(2021年8月時点)。
※「有明プロジェクトについて~“情報製造小売業”の実現に向けて~」参照
無印良品
「無印良品」を運営する株式会社良品計画は、2013年にスマートフォンアプリ「MUJI passport」をリリースし、オムニチャネル化を進めています。
「MUJI passport」では店舗検索や在庫数の確認などができるほか、「マイル」と呼ばれる独自のポイントシステムを採用しており、店舗に来店した際や店舗・オンラインで商品を購入する際など様々なシーンでポイントが貯まる仕組みとなっており、ポイント数に応じてお得なサービスが受けられるシステムを考案。その結果、オフライン・オンラインにかかわらず多くのユーザーからの支持を集め、実店舗とアプリ利用の誘導につながったといえます。
セブン&アイ・ホールディングス
大手コンビニエンスストアチェーンのセブンイレブンやイトーヨーカドーなどの運営や事業を統括する「株式会社セブン&アイ・ホールディングス」もオムニチャネル化に成功しています。
セブンイレブンの実店舗を全国各地に展開しているほか、ECショップ「7iDポータルサイト」を運営しており、オンライン・オフラインにかかわらず商品を購入できるシステムを導入しています。
「7iDポータルサイト」はセブンネットショッピングをはじめとしたECサービスに対応しているほか、セブン&アイグループの店舗や提携店舗の各アプリや各社通販サイトでおトクにお買い物ができます。グループ企業以外の百貨店など商品も購入可能。利便性が高いサービスとしてユーザーから高い人気を誇っています。
オムニチャネル化はEC事業の成功のモデルケールに
本記事では、オムニチャネルについての基礎知識やメリット、注意点、企業における成功事例などを紹介しました。すべての物事がオフライン・オンラインでリンクしている現代において、ECサイト事業者などにとって成功のモデルケールとなりえるのがこのオムニチャネル化を進めることです。オムニチャネルを構築できれば販売の機会損失を防ぐだけではなく、顧客満足度や売上の向上が見込めます。
売り上げが伸び悩んでいたり、集客がうまくいかず悩んでいるEC事業者担当の方は、すでにオムニチャネル化で成功を収めている企業の事例をもとに、ぜひ自社への導入を検討してみてください。